【5月17日「高血圧の日」特集】更年期世代へ注意点と食生活改善のポイント「ナトカリ比」
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日本高血圧学会と日本高血圧協会は、毎年5月17日を 高血圧の日としています。
この日は「世界高血圧デー」でもあり、高血圧の啓発活動はいまや世界的に行われています。今回、更年期世代の男女が特に気を付けたいことと、改善ポイントをご紹介します。
1. サイレントキラー”高血圧”
高血圧の基準は140/90mmHg以上です。(日本高血圧学会)年齢が上がるにつれて高血圧の割合は増える傾向にありますが、多少血圧が高くても自覚症状がないことがほとんどです。しかし、その状態を放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などのリスクが高くなると言われています。そのため、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。
2. 女性の更年期と高血圧
女性の高血圧は40代以降の更年期を境に増え出し、特に閉経を過ぎると急増します。その要因の一つとして、女性ホルモンであるエストロゲンの低下による自律神経の乱れが挙げられます。更年期の代表的な症状である「ホットフラッシュ」も自律神経の乱れが原因で起ります。
さらに、エストロゲンには善玉コレステロール(HDL)を増加させ、悪玉コレステロール(LDL)を低下させるはたらきがあり、動脈硬化の予防に関係しています。
これまで高血圧を指摘されたことがない、気にしたことがないという女性も、更年期以降は特に血圧に注意していく必要があります。
3. 男性の更年期と高血圧
更年期は男性にもあります。男性ホルモンのひとつであるテストステロンの低下やストレスが原因とされており、女性の閉経のような『区切り』がないため、自覚されにくいことが問題視されています。
テストステロンは生活習慣病にも深く関わっており、テストステロンが減少すると内臓脂肪が増えやすくなり、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。そのため、自覚症状のない男性も、女性と同様、中高年以降は特に血圧に注意が必要となります。
4. 血圧が気になり出したら
バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠・ストレスを溜めないなどの心掛けはさまざまな生活習慣病対策に効果的ですが、特に血圧が気になる方にとって『減塩』は重要なポイントとなります。
「高血圧=食塩の摂りすぎ」はいたる所で言われているので、減塩の調味料を選んだり、なんとなくしょっぱいものを避けている、という方も多いでしょう。実際、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると日本人の食塩摂取量は減少傾向となっていますが、目標量からはまだまだ、過多な状況です。
5. 女性の食塩摂取量
食塩摂取量の目標は、女性6.5g/日、男性7.5g/日となっています。対して実際の摂取量は、40代で8.9、50代で9.2g、60代で10.0gと年齢を重ねるにつれて目標量との隔たりが出てきます。男性の食塩摂取量の平均は10.9gでこれも目標値を上回っています。(令和元年「国民健康・栄養調査」の結果より)食塩摂取量を減らすのがいかに難しいかがわかります。
6. 今注目のナトカリ比とは
カリウムにはナトリウムの排出を促す作用があります。食塩摂取量の推移からもわかる通り、減塩はなかなか難しいことから、カリウムの積極的摂取も減塩と併せて推奨されており、「減塩・増カリウム」の動きが進んでいます。
このナトリウムとカリウムのバランスを知ることができる尿中ナトカリ比が、新たな高血圧対策の指標として注目されています。
「塩分(食塩)を控えるようにしている」「野菜を摂取するようにしている」という人も多い中、実際自分がどのくらいの食塩、カリウムを摂取しているかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
ナトカリ比は食塩を多く摂っていると数値は高く、カリウムを多く摂っていると数値は低くなり、一般的に2.0に近い数値を目指すことが望ましいと言われています。
7. 女性の年齢・地域別「ナトカリ比」の傾向
私たちが全国およそ1万人の一般女性を対象に調査したところ、年齢上昇にともなって、カリウムも多く摂れているのですが、それと共に食塩も多く摂っている傾向がわかりました。また、ナトカリ比は年齢の上昇に伴い減少する傾向にあります。
また、地域差もあり、食塩摂取量の平均は東北地方が最も高く、中国地方が最も低い結果となりました。また「ナトカリ比」が最も低かったのは北海道でした。一口に「減塩対策」と言っても一人ひとりに合う方法を取り入れることが大切です。
食塩は調味料だけでなく加工食品(ハム・ソーセージや練り物など)にも多く含まれ、またカリウムも野菜だけでなくお茶や牛乳などの飲料や果物にも多く含まれており、実際の量を知るのは簡単ではありません。
カラダのものさし『減塩検定 シオチェック+』なら「推定食塩摂取量」「推定カリウム摂取量」「ナトカリ比」をご自身の尿から簡単に測定することができます。自分にあった減塩対策、まずは現状を知るところから始めてみませんか?
【参考文献】
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告
日本高血圧学会ホームページ
第43回日本高血圧学会総会『全国の女性における随時尿を用いた推定食塩・カリウム摂取量の地域別比較』(ヘルスケアシステムズ)