ダイエットやフレイル予防におすすめ!目的別たんぱく質不足の見直し方
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食べないダイエットは過去のものとなっています。体重が落ちても、やつれたような見た目になったり健康を損なったりしては意味がありません。
近年、健康的にダイエットを行うにあたって注目されているのが、たんぱく質を賢く摂取して行うダイエットです。もちろん、運動等と両立しながら行うことですが、たんぱく質を摂取することで引き締まった身体を目指すことができます。そして減量を目的としたダイエットだけでなく、フレイル(加齢により心身が衰えた状態)予防もたんぱく質を賢く摂取することで目指すことができます。今回は、たんぱく質の摂り方や目標摂取値を紹介するので、ぜひ健康的な生活を実現するヒントにしてください。
たんぱく質は不足しがちな栄養素
たんぱく質と炭水化物、脂質は「三大栄養素」と呼ばれ、生きていくうえで不可欠な栄養素とされています。これらの栄養素が不足するとエネルギーを十分に産生できず、身体を動かすことに支障が生じるようになります。
とはいえ、現代の日本において、炭水化物と脂質に関しては不足することはあまりありません。例えば、炭水化物であれば、ご飯やパン、麺類などの主食やスナック菓子を食べれば簡単に1日に必要な量を摂取できます。
また、食の欧米化により、脂質も十分量摂取できている方は多いです。実際に農林水産省の「食生活指針」においても、脂肪の質と量を考えて摂取することの大切さに注意をうながし、脂肪分の少ない和食を推奨しています。
あまり意識しなくても簡単に摂取できる炭水化物と脂質とは異なり、たんぱく質は意識しないと摂取しづらく、不足しがちな栄養素です。ヘルスケアシステムズの調査では、年代を問わず、約7割の方がたんぱく質の目標摂取量を達成できていませんでした。健康を維持するためにも、一度、ご自身のたんぱく質の摂取量について調べてみましょう。
参考:農林水産省「食生活指針について」
参考:ヘルスケアシステムズ「全年代の7割でたんぱく質の目標量達成せず 第80回日本公衆衛生学会総会で発表」
たんぱく質の目標摂取値を知ろう
日本人の食事摂取基準(2020年版)を参考に、たんぱく質の目標摂取値(g/日)を摂取できているか確認してみましょう。
なお、身体活動レベルとは、活動や姿勢によるエネルギー消費量の違いを3段階で表示したものです。レベルⅠはもっともエネルギー消費量が少なく、レベルⅢはもっともエネルギー消費量が多くなります。
- レベルⅠ:一日の大半を座って過ごしている方
- レベルⅡ:座っていることが多いが、職場内での移動や立った状態での作業がある方、もしくは通勤・買い物・家事・軽いスポーツのいずれかをする方
- レベルⅢ:移動や立った状態での作業が多い方、余暇活動としてスポーツなどを習慣的に行う方
身体活動レベル別に見たたんぱく質の目標量(単位:g/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
18~29歳 | 75~115 | 86~133 | 99~153 | 57~88 | 65~100 | 75~115 |
30~49歳 | 75~115 | 88~135 | 99~153 | 57~88 | 67~103 | 76~118 |
50~64歳 | 77~110 | 91~130 | 103~148 | 58~83 | 68~98 | 79~113 |
65~74歳 | 77~103 | 90~120 | 103~138 | 58~78 | 69~93 | 79~105 |
75歳以上 | 68~90 | 79~105 | ー | 53~70 | 62~83 | ー |
※妊婦、授乳婦は除く
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ダイエットを意識したたんぱく質の摂り方
たんぱく質は三大栄養素の1つであることからも、健康に生きていくために欠かせない栄養素です。また、ダイエットを意識している方にとっても、次の理由からたんぱく質は欠かせない栄養素といえます。
- たんぱく質はエネルギー消費量を増やす
- たんぱく質は食欲を抑える
- たんぱく質は筋肉の元となる
- たんぱく質は脂肪になりにくい
それぞれの理由を説明し、ダイエットにつながるたんぱく質の摂り方を紹介します。
たんぱく質はエネルギー消費量を増やす
たんぱく質は脂質や糖質(炭水化物)と比べても、体内で分解されるときに熱となって消費されやすいという特徴があります。エネルギー消費量が大きく、なおかつ食事に含まれる脂肪を燃焼させる効果もあるため、痩せやすい身体づくりに役立ちます。
たんぱく質は食欲を抑える
たんぱく質をしっかりと摂取すると、食欲を抑えるホルモン「コレシストキニン」が分泌されやすくなります。食欲を抑えられると自然と食べ過ぎを防げるため、ダイエットが成功しやすくなります。
たんぱく質は筋肉の元となる
たんぱく質は、筋肉などの身体の組織をつくるアミノ酸から構成されています。特に肉や魚、乳製品などに含まれる動物性たんぱく質は、身体の組織に必要なアミノ酸をバランス良く含んでいるので、筋肉を増やしたい方も意識的に摂取しましょう。
たんぱく質は脂肪になりにくい
脂質や糖質は消化吸収された後、余剰分が脂肪として体内に蓄積されます。病気やケガなどのいざというときには役立ちますが、蓄積された脂肪が多すぎると肥満につながるので注意が必要です。
一方、たんぱく質は余剰分は尿中に排出され、体内に蓄積されることはほとんどありません。また、蓄積された脂肪を燃焼する効果もあるので、不足しないようにしっかりと摂取するようにしましょう。
ダイエットに嬉しいたんぱく質の効果を高めるためにも、まとめて摂取するのではなく、食事ごとに分けて摂取することが有用です。例えば、18~49歳の身体活動レベルⅠの女性は、1日に57~88gのたんぱく質が必要とされています。1食あたり20~30gを摂取するように心がければ、偏りなく必要量を摂取できるようになります。
→こちらのコラムもご参照ください。「たんぱく質を手軽にとるには?コンビニ活用術を紹介します。」
生活習慣病を意識したたんぱく質の摂り方
生活習慣病の予防にもたんぱく質は必要とされています。実際に、たんぱく質が不足すると脳卒中のリスクが増大する可能性が指摘されているため、意識的に摂取することが必要です。また、血圧値が高い方がしっかりとたんぱく質を摂取すると、軽度の降圧効果を得られるという研究報告もあります。
ただし、たんぱく質を過剰に摂取することでも、糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高まる可能性があるため、適度な摂取を心がけることが大切です。年齢と身体活動レベルごとの目標摂取量を知り、1日3食に分けて摂取を目指しましょう。
フレイル予防を意識したたんぱく質の摂り方
老齢になると、徐々に身体や心がもろくなることがあります。一般に次の変化のうち3つ以上が見られるときはフレイル、1つないしは2つの変化が見られるときはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断されます。
- 横断歩道を青信号のうちに渡りきれないことがある
- ここ最近、疲れやすいと感じることが多い
- 軽い運動・体操、あるいは定期的な運動はしていない
- ペットボトルのフタが空けにくいことがある
- ここ半年で体重の減少が2~3㎏以上ある
フレイルになると、さらに活動量の低下が進み、”寝たきり”状態や要介護状態に進展することもあります。「年齢だから逆らえない」と諦めてしまうのではなく、フレイル予防に積極的に取り組むことが、いつまでも健康で暮らすコツといえます。
フレイル予防にもたんぱく質は欠かせません。たんぱく質の摂取量が減ると筋力の低下や疲れやすさにつながるため、性別と身体活動レベルに合うたんぱく質量を摂取することが必要です。※ご自身の体調で気になる場合は医師にご相談ください。
また、たんぱく質は身体をつくる役割も果たすため、骨粗鬆症の予防にも有用です。骨折をきっかけに介護が必要になり、そのまま要介護状態が続くケースも少なくありません。いつまでも自力で行きたいところに行くためにも、たんぱく質をしっかりと摂取しましょう。
たんぱく質に注目して美と健康を目指そう
たんぱく質をしっかりと摂取することで、肥満や生活習慣病、フレイルなどを予防することができます。まずはご自身の年齢や身体活動レベルに合ったたんぱく質の目標摂取量を知り、毎日の食事の中で摂取していくようにしましょう。
たんぱく質が不足しているかどうかは、尿から簡単に調べることができます。気になる方はぜひカラダのものさしの「フレミーチェック」をお試しください。採尿してポストに投函するだけで、2週間ほどで結果がわかります。
現在のたんぱく質摂取量だけでなく、不足しているたんぱく質量やどのような食事をどの程度増やせば良いかの目安、身体活動レベルのアドバイスについても郵送で受け取れます。ぜひ健康な生活にお役立てください。