【更年期コラム】閉経後の女性に起きる骨の変化
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閉経によって女性の体は大きく変わります。生理がなくなるだけでなく、骨にも変化が訪れることが分かってきています。
この記事では、 ・閉経後にはどのような変化が訪れるのか ・骨粗しょう症などのリスクを減らすために何ができるのか を解説します。 |
閉経で
骨密度が低下する
骨密度は20歳ごろをピークとして徐々に低下していきます。しかし、女性の場合は50代になると急激に低下し、1年に2%、10年で20%ほども低下してしまいます。
これは閉経を迎えて徐々に女性ホルモン「エストロゲン」の量が減っていることと無関係ではありません。
女性ホルモンと骨の関係
女性ホルモン「エストロゲン」は肌や髪のツヤを維持するだけでなく、骨の形成をうながし、骨からカルシウムの流出を防ぐ働きもします。
骨は常に形成と吸収を繰り返していますが、エストロゲンの減少により形成される量が減ると骨密度が下がり、骨自体がもろくなってしまいます。また、エストロゲンが減少すると、骨内のカルシウムが流出しやすくなるので、さらにもろい状態になってしまいます。
50代から急激に低下する骨密度
先ほど、女性では50代になると骨密度が急激に低下するとお話ししましたが、骨密度の低下は閉経から後も続きます。個人差はありますが、70代になると20代の頃の骨密度の70~80%程度、80代になると60~70%程度になり、より骨折しやすい状態になります。
閉経後骨粗しょう症になるリスクも高まる
閉経前後に骨密度が下がり、骨がもろく折れやすい状態になっていることを「閉経後骨粗しょう症」といいます。自覚症状がないので、骨が折れて初めて気付くことも少なくありません。なお、閉経後骨粗しょう症には自覚症状はありませんが、身長が縮むことが知られているので注意することができるでしょう。特に20代の頃と比べて3cm以上背が縮んでいる場合は、医療機関を受診して相談してみましょう。
骨粗しょう症は治療できる?
骨粗しょう症にはいくつかのタイプがあり、治療法も異なります。診断によってはビタミン製剤などの薬剤で骨密度を改善できることもあるので、まずは医師に相談してみましょう。
普段の生活習慣を見直すことで、骨粗しょう症を改善できることもあります。骨密度を増加するカルシウムやビタミンDなどが含まれた食事を意識的に摂ることや適度に運動すること、日光に当たることなどでも骨密度の増加につながることがあるでしょう。
また、健康に良くないとされる習慣を止めることも大切です。喫煙や塩分の高い食事を食べること、カフェインやアルコールを過剰に摂取することなどは、骨密度を上げるためにも、そして健康に生活していくためにも止めるようにしましょう。
エストロゲンの減少は
大豆イソフラボンで補える
閉経期になると、エストロゲンの減少により骨密度が低下し、骨粗しょう症などのリスクが増えてしまいますが、減少するエストロゲンを何かで補うことができれば、骨粗しょう症のリスクも減らすことができると考えられます。大豆に含まれている成分の「大豆イソフラボン」は、エストロゲンとよく似た働きをするので、エストロゲンが減少したときに起こる不調の軽減に役立つことがあります。大豆イソフラボンは豆腐やおから、納豆、油揚げなどの身近な大豆食品に含まれているので、意識的に摂取し、骨密度の低下を抑制していきましょう。
大豆イソフラボンからつくられる
”エクオール”とは?
しかし、大豆イソフラボンを摂取することで、必ずしも不足するエストロゲンを補えるわけではありません。
大豆イソフラボンがエストロゲンに似た働きをするかどうかは、大豆イソフラボンを代謝して「エクオール」という成分を生み出す腸内細菌があるかどうかに左右されるということが、近年研究によって分かってきています。腸内にエクオールを生み出す細菌がない場合は、大豆イソフラボンを摂取してもエクオールが産生されないため、大豆イソフラボンの効果はあまり発揮されません。
エクオールを生み出す
腸内細菌がある人は約半数!!
エクオールを生み出す腸内細菌を保有しているかどうかは、人によって異なります。また、食生活などによっても異なり、日本人は約半数のみエクオールを生み出す腸内細菌を保有しているといわれています。なお、欧米の人はエクオールを生み出す腸内細菌を保有している割合が低く、アメリカやヨーロッパで約28%、オーストラリアでは約31%といわれています。反対にアジアは多めで、日本は約50%、中国では約55%です。
閉経後の骨粗しょう症
予防のためにできること
閉経すると女性ホルモンが減少し、骨密度が低下していきます。しかし、毎日の習慣により骨密度の低下を抑制することは可能です。
ぜひ次の6つを意識していきましょう。
□大豆食品を食べる □カルシウムやビタミンDを摂取する □運動習慣を身につける □規則正しい生活を心掛ける □日光に当たる □体に良くない習慣を断つ |
大豆食品を食べる
体内にエクオールを生み出す腸内細菌があったとしても、原料となる大豆イソフラボンを摂取しないならばエクオールは産生されません。毎日大豆食品を意識的に摂取し、エクオールの原料が不足しないようにしましょう。
カルシウムやビタミンDを摂取する
骨を強くするには、カルシウムをしっかりと摂取することが大切です。カルシウムは体内に蓄積できないため、毎日意識的に摂取するようにしましょう。
なお、カルシウムは1日に650mgの摂取が望ましいとされています。牛乳だけで摂取するならば600mlほど必要ですが、栄養バランスを考えると1つの食品だけで摂取するのはあまり勧められません。納豆や油揚げなどさまざまな食品を通して、カルシウムを摂取していきましょう。
また、骨量を保つためにはビタミンDも欠かせません。ビタミンDが含まれる魚類なども意識的に食べましょう。
運動習慣を身につける
骨を丈夫にするためにも、毎日適度に運動することは大切です。階段昇降やウォーキングなどを習慣化し、骨に適度な圧力を加えるようにしましょう。
規則正しい生活を心掛ける
腸内細菌の働きは、生活リズムにも影響を受けます。エクオールを生み出すためにも、生活リズムを整え、腸内環境を良好に保つようにしましょう。睡眠時間をたっぷりととり、栄養バランスの良い食事を心掛けることで、腸内環境も整いやすくなります。
日光に当たる
ビタミンDは日光に当たることで活性化します。骨を強めるためにも、毎日適度に日光に当たるようにしてください。
身体に良くない習慣を断つ
どんなに健康に良い習慣を身につけても、不健康な習慣を続けているのであればあまり意味はありません。喫煙や過度のアルコール、カフェインの大量摂取などの身体に良くない習慣を断ち、健康的に暮らしていきましょう。
骨の健康も意識しよう
骨粗しょう症はほとんど自覚症状がないため、骨が折れるまでは気付きにくいといわれています。大豆食品を食べる、運動習慣を身につけるといった簡単なことからも骨の健康を高めていくことはできるので、いつまでも健康に生活するためにも、今できることから始めていきましょう。
更年期女性の注目成分
”エクオール”ってなに?
美容や健康によいと言われる大豆イソフラボン。
でも実は、大豆イソフラボンは誰にでも効果があるというわけではないんです!!
効果が出やすい人、出にくい人の差をつくっている「エクオール」について、紹介します。
検査キットが到着したら、採尿して送るだけで、約1~2週間で検査結果が届きます。
ご自身の体質を知ったうえで、より良い対策をしていくためにも一度検査してみることをおすすめします!